誰がそう言ったかを尋ねないで、言われていることは何か、それに心を用いなさい。
~ トマス・ア・ケンピス(思想家) ~
言葉というものは不思議なもので、同じ言葉を話していたとしても、人物が変わると印象がガラリと変わってしまいます。
経験に基づいた言葉は重みがあり、実績のない人の言葉は信用に値しないことも多々あります。
どの言葉を信じるのかは自分自身で決めるべきですが、ここでひとつ覚えておいていただきたいことが。
それは、自分に対しての忠告の言葉の場合です。
どんな人間でも、自分の嫌な部分を言い当てられたり、自分に反論されたり否定されたりすると不愉快な気分になります。
ですが、自分にとってためになる言葉ほど、聞きづらいこともまた事実です。
耳触りのいい柔らかい言葉も大切ですが、時には鋭いナイフのように心に切り込んでくる言葉も必要です。
でも、たとえ同じ言葉でも、本当に信頼している人から言われるならいざ知らず、あまり親しくない人から言われると反論したくなるのも当然です。
そんな時は「誰に」言われたのかではなく、「何を」言われたのかに注目してみましょう。
いい評価だったとしても悪い評価だったとしても、自分に対する評価を耳に入れておくことは、時として近道になることもあるのです。
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いくら自分を客観的に分析しようとしても、そこは人間、限度というものがあります。
本当の意味での第三者の視点からアドバイスを受けることは、自分で気がつくことを待つよりもずっと時間短縮ができます。
もちろん、その言葉を素直に受け止めるには、かなりの神経を要します。
だからこそ、言った人物に注目すべきではなく、言葉に注目すべきなのです。
人の忠告を素直に受け入れられる人は、ものすごいスピードで成長していける人。
自分はそういうタイプではないからと言って、自分を卑下することはありません。
きっとあなたは、言葉というものを慎重に考えられる思慮深い人なはず。
それは欠点ではありません。
相手の忠告を受け入れて、いい方向に変われたのなら、あなたの人間としての価値が上がったということ。
納得がいかなかったら、その忠告を保留にして、自分の気持ちの落としどころが付いたときに、また考えてみればいいのです。
自分に向けられた言葉の中には、いいものも悪いものもあって当然です。
ただ、なぜその言葉が来たのかというの原因を考えてみることで、意外な本質が見えることがあります。
どんな忠告でも、一度は自分の心でしっかりと受け止めて考えてみましょう。
素直に反省できたのなら改善すべきですし、納得がいかなかったら保留にして後日また考えてみましょう。
大切なのは、誰に言われた言葉だとしても、必ず一度は心で受け止めるということです。