声の調子や目つきや姿のうちにも、取捨選択したことばに劣らない雄弁がある。
~ ラ・ロシュフコー(文学者) ~
自分のことを「口下手で話すのが苦手だ」と思っている人は、想像以上に多いものです。
「きちんと説明しよう」「わかりやすい話にしよう」と考えるあまり、何を話していいのかわからなくなってしまうと「話すことが苦手」という意識に繋がってしまいます。
自分の考えや思いを、相手にきちんと正確に伝えようする姿勢はとても素晴らしいのですが、肩に力が入りすぎていると自分が疲れてしまいます。
そこから苦手だという認識を持ってしまうと、なかなか脱却するのが難しくなってしまいます。
ただ、どんな問題でも、苦手なことの本質が何かわかれば対処法も見つかります。
敵を倒そうと思うのなら、まず敵を知らなければいけないということと同じです。
話すのが苦手だという人は、おそらく、言葉を選ぶことが苦手なのかもしれません。
感情のままに思ったことを口に出すタイプと違い、声に出す前に一度考えてしまうからこそ、どの言葉を言うべきか悩むのです。
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それは、「相手を傷つけたくない」という優しさと、「変に思われたくない」「誤解されたくない」という思いからでしょう。
でも、言葉というものは、何も口から出たものだけではありません。
その人の持っている雰囲気や仕草の中にも、「語られない言葉」が散りばめられています。
あなたが伝えようとしている言葉は、口に出さない間にもきちんと相手に伝わっていくのです。
焦ってあれこれ言葉を探す必要はまったくありません。
あなたはあなたのペースで、自分が思った言葉を自分で伝えればいいのです。
よく「沈黙が怖い」という言葉も耳にしますが、沈黙というのは基本的に怖いものではありません。
その沈黙の間に自分の考えをまとめることもできますし、相手の声ではない言葉を感じることができるからです。
だからこそ、沈黙が怖いと思う必要はありません。
自分が話していない間にも、相手には語られない言葉で伝わっていることを思えば、言葉をむやみに焦って探す必要がなくなります。
言葉は多くを表しますが、どれだけの言葉を以てしても、すべてを表すことは不可能なのです。
沈黙を恐れず、伝えたい言葉をきちんと伝えるということだけ念頭に置きましょう。